「合同」という文字のせいか、1人では設立することができない、と誤解されている方が多いようですが、合同会社は1人でも設立することができます(株式会社も同様です)。実際、弊事務所にご依頼をいただく方の8割が1人で設立されています。
なお、会社設立後に定款を変更する場合には、原則として社員全員の合意が必要になり、それが合同会社のデメリットでもあるのですが、社員1人であれば、このデメリットを考える必要はなくなります。
最低資本金制度はありませんから、1円でも差し支えありません。会社設立登記は可能です。
ただし、資本金額は登記されており、登記簿謄本は誰でもとることができます。資本金額が1円ですと登記は可能でも、信用の面で不利になることがあります。相手が資本金1円の合同会社だということがわかれば、法人口座の開設を拒否する金融機関や、取引を見合わせる会社も出てくるのではないでしょうか。
会社を設立するにあたり、定款を作成するところから始まりますが、お客さまには定款に記載する情報をまとめた「合同会社設立相談シート」に記入していただきます。不安な方は、打ち合わせしながら記入していただくこともできます。
株式会社では、出資者を株主、経営を行う人を取締役、代表者を代表取締役と呼びます。
合同会社では、これらのすべての役割を担うのが「社員」です。
つまり、社員は出資者であり、経営者であり、代表者でもあるのです。
なお、社員が複数いる場合には、定款や総社員の同意により、「業務執行社員」「代表社員」を置くことによって、各社員の権限を変更することもできます。
(原則)
社員=出資者、経営者、代表者
(業務執行社員を定めると)
社員=出資者
業務執行者=経営者、代表者
(代表社員を定めると)
社員=出資者
業務執行社員=経営者
代表社員=代表者
株式会社の代表であれば、名刺には「代表取締役」と書かれていますが、合同会社の代表者は名刺の肩書きは何と書けばいいでしょうか?
とてもよく聞かれる質問です。過去に合同会社と取引をしたことがあれば、相手の名刺があるので参考にできるかもしれませんが、合同会社はわりと最近できた会社形態ですので、名刺交換する機会も多くないと思います。
合同会社の場合、代表者は「代表社員」として登記されていますので、そのまま「代表社員」とするか、これだと社員(従業員)の代表のようなのでイヤだ、という方には、「社長」「代表」をおススメしています(「社長」とする場合には、定款にその旨、規定しておきましょう → 定款サンプル第7条)。中には、「CEO(chief executive officer=最高経営責任者)」にされる方もいらっしゃいます。
定款に規定した事業は、一般に会社設立後、すぐに開始することができるのですが、中には事前に許認可を得なければならないものもあります。
たとえば…
<保健所へ>
・飲食店営業、菓子製造業、食肉販売業、魚介類販売業、旅館業、理容業、美容業、クリーニング業、医薬品等の販売業 等
<警察署へ>
・マージャン店、古物商、警備業、指定自動車教習所 等
<都道府県庁及びその他官庁へ>
・酒類販売業、各種学校、旅行業、宅地建物取引業、建設業、運送業、人材派遣業、自動車整備業、ガソリンスタンド 等
* これらの許認可については、ご自身でもできますし、(司法書士は代行できませんので)専門の行政書士・社会保険労務士に代行を依頼することができます。会社設立手続きのご依頼をいただいた方には、専門家をご紹介いたします(紹介料はいただきません)。